空のいろ

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フランケンシュタインの誘惑  「ゆがめられた天才 幻の世界システム」

2017.04.29.
深冬です。
月に一度のお楽しみ。BS3の「フランケンシュタインの誘惑」
番組改編で、今回から時間が夜10時に移動。
オープニングも変わりました。

今回取り上げられている人は、ニコラ・ステラ。
いつものことですが、私の知らない人です。

エジソンが、「直流vs交流」で負けたというのは知っていましたが、その相手のことは知りませんでした。なんて片手落ち。
普通、勝者の方を覚えていそうなものですが、エジソンの方が子供の頃に伝記を読んだりして、印象深かったからかもしれません。
名前は知らなくても、きっとこの人は「交流」でその道の第一人者になって、それを発達させていったのだろうと思っていましたが、違いましたね。

無線を研究対象にし、電信、電話、ラジオなんかを一度に、しかも世界中に送る「世界システム」なるものを作ろうとしていたなんて。

びっくりです。
それは無理でしょう。世の中には「国境」と言うものがあり、「政治」というものがあります。第一誰がお金を出して、誰が管理していくの?

と思っていたら、やっぱり資金面でとん挫してました。

「交流」でモーターを作る時は、ウェスティングハウスが投資して、会社を傾けかけましたが、ステラが特許を放棄することで何とか成功。

でも、「世界システム」に投資していたJ・P・モルガンは、マルコーニが「S」一文字のモースル信号の無線発信を成功させたところで、投資打ち切りを決めます。
ステラには、マルコーニの成功は、小さなものにしか思えなくても、堅実に一歩踏み出した技術の方が、実業家には価値あるものに見えて当然だろうと思います。

ステラも、無線操縦のデモンストレーションはしているんですよね。
その理論は、ステラ本人の説明がいるほど難解だったとしても。
だからJPモルガンも投資したんだろうし。

ただ、難解な割に、ステラがやっていることって、子供っぽくないですか。
無線で船を操縦するって、当時は確かにすごいことだったでしょうが、手品っぽくもあります。

エジソンに、そこまでやるかというようなネガティブキャンペーンをされた時の対抗策も、手品っぽい。

無線があれば、戦争は機械のコンテストになるという発想も、頭の中がお花畑といわれても仕方ないかも。天才なのに・・・


「世界システム」を考えて一人で突っ走ってしまったのは、自信があったからだろうけれど、いろいろ説明するのが面倒だったのかもしれないとも思いました。

普通の人でもあるでしょう?
説明するより自分がやってしまう方が早い、って思ってしまう、あれです。
会社のOJTや、子供のしつけ。
出来るまで待つことにストレスを感じるし、自分の負担も増える。

ステラは、それが耐えられなかったのでしょう。
自分でやった方が早い。
気持ちはわかりますが、大きなプロジェクトではそうもいかないことが、きっと分からなかったのでしょうね。


今回の解説では、「工学と科学」の違いが語られていました。
科学は理論の追及。
工学は世の中の需要に折り合いをつけて実現する。

で、前回も「工学」について話をしていたと思いだし、録画を消していなかったので確かめてみました。
「理学と工学」について語られていました。
ひと言で言うと、「理学は人類の知の地平を広げて行く。工学は人の役に立つ。」
という説明でした。

確かに工学って、使うという前提ありで研究開発されるものかも。
私たちが何を望むかによって、工学が進んでいく方向は決まって行くのかもしれません。


では、ニコラ・ステラのように、一人で突っ走ってしまった人はどうなるか。

人はよくわからないものは、迷信という霧で包み込んでしまおうとするものです。
迷信も、信仰の一つ。
ニコラ・ステラは、その中に入れこまれてしまったのだなぁと番組を見ながら思いました。


最後に、研究費獲得のために分かりやすい説明を求められると聞いて、苦労が多そうだと感じました。
まず、相手がわかろうとしてくれるかどうか、これで理解度が随分違いますよね。
松岡圭祐著「水鏡推理」を思い出したことも付け加えておきます。



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2017年3月 フランケンシュタインの誘惑 フォン・ブラウン - 空のいろ